古いローマ教会の
パロワシアン(Paroissien／祈祷書)です。

1870年代 フランス
GRUEL ENGELMANN社製。
　
パロワシアンは
教会が認可した内容が収録された宗教本で
いわゆる聖書とは異なります。

聖書から抜粋した儀式の手順や祈祷文をはじめ、
生誕や洗礼、婚姻、葬儀、起床から就寝に至るまで
信者の公的及び私的な信仰生活の局面などが記されています。

1811年創業のグリュエル・エンゲルマン社は
中世をイメージした重厚な装丁で知られる
パリの製本会社です。

当時は贅沢であった革製の表紙、
中央に配された十字架と二箇所の留め具には
色鮮やかなエマイユ装飾、
側面の三方には眩い輝きを放つ草花模様の金付けが施されており
手の込んだ豪華な細工に感嘆させられます。

ページを開くと
“A ma chere Marie
Souvenir bien affectueux de son oncle et parrain
2 juillet 1879“

親愛なるマリーへ　
叔父とゴッドファーザー(洗礼式の代父)の愛情豊かな思い出に
1879年7月2日

の記述があり、
贈り物として特注されたものと推測されます。

全686ページ、多色石版の挿絵が5点収められており
内外ともに非常に美しく、
美術品としても価値ある一冊です。


経年による傷や擦れ、金属の変色、紙のヤケや破れなどがあります。


サイズ：縦約15.8cm　横約12.3cm　厚み約3.5cm



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