古いピクウェのブローチ兼ペンダントトップです。
推定1800年代後期　イギリス。

ピクウェ(pique)は
鼈甲や象牙といった素材に
金や銀、真珠母貝などの小片を嵌め込む装飾技法です。

17世紀頃のフランスに始まり、
その後イギリスやオランダなどにも渡りましたが
19世紀末には技術が途絶え、製法の再現は困難と言われています。

本品は十字軍時代、
聖地防衛のため設立されたローマ・カトリックの騎士修道会
聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)のシンボルである
マルタ十字を象っています。

ヨーロッパ各国の勲章などにも多く用いられるこの意匠は
ジュエリーのモチーフとしてもポピュラーであり、
とりわけヴィクトリア時代に
自身や愛する人を守るという意味合いで好まれました。

ごく僅かに光を透過する深黒の鼈甲を土台に
草花模様の金銀象嵌が施されており、
明確な色彩のコントラストが
端正なフォルムをより一層際立たせ、装いに上質な存在感を与えます。

象嵌の欠損はなく、ピンや丸カンの状態も良好。

シャープさの中にも
仄かな温もりを感じさせる天然由来の素材感と
精緻を極めた美しい手仕事が
見る人の目を存分に楽しませる一品です。


経年による傷や擦れ、金属変色等が見られます。



サイズ：縦約4.3cm　横約4.3cm　(留め具を含まず)




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